オランダの教育

2013年10月15日

ハーグ市教育センター(教育サポート機関)-オランダ報告12

教育サポート機関は、1970年頃、画一から個別への転換が行われた時期に、主として現職教員に対して、教材、教育法、学級経営・学校経営などについてアドバイスをするために作られました。
もともと公営施設だったが、
2000年ごろに民営化。ただし、資金は、国と地方自治体が支給する教員研修費から支払われています。 全国に多い時で60カ所ほどありました。ハーグ市教育センター(HCO)は、教育文化科学省のあるハーグ市の施設として、ロッテルダムにあるCEOと並び有名な施設です。

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日本のように学習指導要領が無いので、オランダの教育方法の自由を支える施設です。シンポール式数学の教材など、先進的な教育プログラムにも出会うことができました。

IT
化が進み、教科書の展示という役割を終え、教育プログラムの紹介・相談と研修提供としての役割に変化してきていると感じました。

日本の各自治体では、教育センターや教育研究所があります。不登校の児童生徒の相談事業などを実施しているとるところが多いようです。このハーグ市教育センターのように、教職員や学校へのアドバイスをする機関が必要です。
教育サポート機関ができるまで、私は教育コンサルタントとして、教材など学校の教職員へのアドバイス・研修や地域とのコーディネートなどを続けていきます。
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2013年03月18日

オランダの保育園を視察-オランダ報告10

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【落ち着き、静かに話を聴く子どもたち】

 オランダのハーグ市にある保育園を訪問した。日本でも実践されていることもあるとは思うが、見たことを紹介したい。私が見学したのは、ハーグ市内に約70か所の保育園を経営する民間の保育園であった。そこには、0歳から4歳までの子どもが預けられていた。※オランダでは、4歳の誕生日を迎え、5歳になるまでの間に、小学校に入学する。

 私が、驚いたことは、子どもたちが、机にきれいに並んで、落ち着いて座っていることだった。そして、保育士の顔をじっと見つめ、話を聴いている。





















【保育の工夫】

 説明で、「自立心を育てる」という言葉を、よく耳にする。この自立心が、こどもたちの落ち着きの秘訣のようだ。保育の中の至る所に、この自立心を育てる工夫が盛り込まれている。

たとえば、教室の中に、一人きりになれるスペースが準備されている。みんなと楽しく遊ぶだけでなく、一人になって、考えたり、作業したりする時間が大切にされている。

他に気づいたことは、遊ぶ内容と遊ぶスペースを自分で決めること。遊ぶ時間になると、教室の図の書いたボードがあり、子どもたちは、自分がどこで、何をするかを表明していく。

3つ目は、子どもたちに、保育士が、一日の予定を示していること。その都度、指示を出すのではなく、図で示すなどして、子どもが自分で動けるような環境を整えている。毎日のことなので、子どもたちは、すぐに慣れてくるそうだ。保育士は、「ストラクチャー(構造)を与える」と説明していた。こういった毎日の細かい積み重ねが、表れてくるのだろう。

そして、何より、保育士が落ち着いている。大きな声で注意していないのはもちろん、元気に張り切った姿も見せない。

うつぶせか、仰向けか。その他、遊びは、子どもに任せている。ただ、「すべて自由がいい」と言っているわけではないと強調していた。大きくなればなるほど、他人の気持ちを尊重できるように指導しているとのこと。社会見学に出かけ、マナーや配慮も学ばせている。

















【保育を自己評価し、公開】

 移民の多い地域などもあり、地域ごとに教育プログラムは違う。ただ、この保育園は、3つの点を意識して保育を実践している。ヾ超と子ども-設備や建築。∧欅藥里隼劼匹-保育士が子どもの発達を刺激しているか。子どもと子ども-安定した子どもグループが形成されているか。
 この3つについて、アムステルダム大学などの発達心理学の教授たちと指標を作り、評価している。内容は、保育園の実践として、発信している。これは、園の説明責任であるとのこと。また、大学などの教育機関も、研究結果の信頼につながると、保育現場へ積極的に協力している。

 保育園と親は、日々の送り迎えのほかに、午後八時から開催される懇談会や保育園運営評議会で、話し合う。親との連絡帳は、今日では、インターネットでログインし、写真を使って報告されている。


【保育を取り巻く社会環境】

 保育園では、机やおむつを替える台の高さなど、保育士の腰が痛くならないよう配慮がなされている。オランダでは、ワークシェアが採用されており、保育士は、毎日、勤務しない。産休する保育士もいる。園児も、毎日、通うわけではない。

 待機児童数は、いない。人口40万人ほどの地域に、保育園・託児所が約400あるという。保育園に関しては、「02歳児9人に対し保育士2人」といった規則が決まっている。託児所の定義が違うと言っても、日本とは量の違いがある。

 保育園の待機児童がいない別の理由に、経済不況があげられた。親が失業してしまっている。保育料を払えなくなってきている。保育料は、国から補助が出るが、親の所得によって変動するそうだ。国の財政悪化で、子育てにしわ寄せがきている。

 それでも、子どもは社会で育てなればならないという国の姿勢がはっきりしている。核家族化し、共働き化し、移民も多く、複雑な社会である。この多様な社会を支えるためにも、社会ぐるみで子育てが行われている。

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2012年08月20日

ワールド・オリエンテーション-オランダ報告9

ワールドオリエンテーションとは、オランダのイエナプラン学校で行われている教科横断の学習である。
(日本でいうところの、総合的な学習の時間で本来求められているような学習)
「子ども自身の発見や観察を尊重し、生徒同士の相互作用を引き出す」というイエナプランの創始者ペーターセンの教育理念に基づく。
しかし、ワールドオリエンテーションは、ピーターセンが実践した教育ではなく、オランダ・イエナプランで発展したものである。
サークル対話によって、探究を深める。

文部科学省によって、7つの経験領域に、詳細な到達目標が定められている。
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国立カリキュラム研究所と協力して、カリキュラム集を作成。これを各学校が、実践する。

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2012年08月18日

自分で問いを立てる力と「それいけノンタック」‐オランダ報告8

私の幼いころ、NHK教育テレビで「それいけノンタック」という番組がありました(1985年‐1992年に放送)。
のんびり屋の少年ノンタックが、大好きなおばあちゃんにもらった魔法のめがねの力で、「おでこのめがねでデコデコデコリーン」とおまじないを言って、住んでいる町や学校などの身の回りにあるさまざまなモノたちに話しかけ、社会の仕組みを学ぶように製作されていました。
参照 http://www.st-nova.jp/movie/tvnontakku.html

オランダの授業風景を見て、ノンタックを思い出しました。
わからないことを教員に質問すると、教員はすぐに答えを教えずに、観察するように促すのです。
たとえば、クモについての学習では、「どうやってクモの巣を作るの?」と生徒が聞くと、教員は「クモに聞いてごらん」と答えるのです。
これは、「物事それ自身に問いかけるという原則」に基づいた教育方法です。

さらに、生徒がクモについて知っていること、感じていることなどを、輪になって共有します。
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その時、「クモさん、あなたに聞いてみたいことがあるんだけど・・・」と質問形式で、発表するようにしています。
これは、自分で問いを立てる訓練になるのです。

変化の激しい今日、知識は重要ではなくなってきます。
自分で課題を発見し、その解決法を探求し、実行する力が大切だと認識されるようになってきました。
これからの時代は、ますます、自分で問いを立てる力が求められているのです。

余談ですが、私たちがアムステルダムの街を歩いているとき、どの建物の壁も傾いているのが気になりました。本やネットで調べることもできたのですが、「この建物に聞いてみよう」と観察していました。すると、間口や階段が狭いことから、荷物を揚げ降ろしするために使うことがわかりました。
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2012年08月17日

自主自律型の学び‐オランダ報告7

時間割は自分で作る。
時間割

勉強は各自で進める。
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分らないことがあったら先生に質問。進捗を先生に報告。
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大勢の前で挙手するわけではなく、質問しやすい。

先生からの評価は数字ではなく、コメントで。
通知表
評価については、通知表とポートフォリオと三者面談-オランダ報告4を参照。

自学習を支える体系だった教材
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近頃はIT化が進み、個人がログインして学習
IT教材

難しい教材シリーズ・秀才教育
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2012年08月16日

教育委員会の教科横断プログラム開発

堺市教育委員会では、「子ども堺学」モデルカリキュラムを構築し、主体的参加型学習を実現させようとしている。学習カリキュラム・プログラムを、教育委員会が音頭を取って、広く知識を集めて開発することに意義を感じている。
 掛川市の生涯学習都市宣言に基づく掛川学、金沢市の外国語学習など、地域素材を活かした横断的な学習の取り組みは、他でもあった。
 教科を横断した学習のカリキュラムの実施は、学習指導要領との兼ね合いが難しい。一教員が、意欲的な試みを実践しても、負担は大きいが、広がりがない。周囲に妨害されることも多いのが現実。教育委員会が、叡智を結集し、研究開発特区も視野に入れながら、モデルを作り上げて欲しい。
 オランダで痛感したのは、教育プログラムを、教育センターのような機関が開発し、教員が活用していること。学校は、教員の教材研究の負担を軽減するだけでなく、良質で生徒に安定した教育内容を提供できる。

http://www3.sakai.ed.jp/weblog/index.php?id=sakai159&type=2&category_id=1048&date=20120331&optiondate=201106

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2012年08月04日

「オランダの教育から学ぶ-脱『画一的教育』のヒント」​オランダの学校訪問報告会!


オランダの学校を訪問した報告会を開催致します。
5月に柏で開催しましたが、都内でも、ぜひ!というご要望にお応えして。
5月から、ブラッシュアップしてきました。
ぜひ、お誘いあわせの上、ご参加ください。

2012年8月22日(水)19:00から、
株式会社ベネッセコーポレーション新宿オフィスにて開催します。

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こちらの登録フォームよりお申込ください。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/60871ca7208649
(お申込み受付期間:8月22日17:00まで)
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子どもが豊かに学ぶオランダの秘密を教育から覗いてみませんか?

講演者2名は4月中旬にオランダの学校を視察して参りました。

今回の講演では、画一教育から個性を伸ばす個別・協同教育のイエナプランの実践、学び方を学ぶスタディハウス、多様性を育むピースフルプログラムなどを報告します。それらは小国オランダならではの智慧と工夫の宝庫であり、現代日本の教育にとって貴重な示唆になると信じています

現地で見聞きしたこと、また学校の教員やリヒテルズ直子さん*との意見交換で得られた知見などをシェアし、今後の日本における教育のありかたをざっくばらんに模索できる場にしたいと考えております。また、講演者がオランダの教育システムを参考にして構想した教育改革のありかたについてもご紹介させていただきます。ぜひご参加ください。

*オランダ教育研究の第一人者。ブログはこちら→http://www.naokonet.com/


【講演者】
山下洋輔
 柏まちなかカレッジ学長
 教育コンサルタント
 柏市市議会議員
 http://www.facebook.com/yosukeyama

長井悠
 ハバタク株式会社 取締役
 http://www.facebook.com/unagai

【講演内容】
 1) オランダの学校教育の概要
 2) 実際に見聞きしてきたこと、意見交換したこと
   学校見学について
   リヒテルズ直子さんとの意見交換について
 3) これからの私たちの教育改革構想

【主催】教育ゼミ
(教育ゼミは教育に関心を持つ者同士の交流を目的とした個人の勉強会グループです)

【共催】一般社団法人 教育共創研究所
【開催発起人】藤村慎也、大沢望、須藤淳彦

【日時】2012年8月22日(水)
18:45開場、19:00開始、21:00閉会

【会場】株式会社ベネッセコーポレーション新宿オフィス
大会議室(新宿三井ビルディング 12階)
※ビルに入り、エレベーターで直接12階まであがってください。エレベーターを降りたところに案内のものが立っております。
※周辺では通常の会議等も開催されております。静粛な進行にご協力ください。
http://www.benesse.co.jp/benesseinfo/map/y_shinjyuku.html

【参加費】無料

【定員】70人

【懇親会(予定)】※希望者のみ
会場近くのお店を予定しております。(懇親会費目安:4,000円)

【お問合わせ先】
須藤淳彦(ベネッセコーポレーション)
 tukukunn@mail.benesse.co.jp
 090-3726-6094
大沢望(教育ゼミ)
 osawa.noz@gmail.com
 080-3342-1360


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2012年07月07日

校庭から考える-オランダ報告6

オランダの小学校を視察し、撮影した映像です。
※Dr. Schaepmanschool (ドクター・スハエプマン小学校)を訪問 2012.04.19

これからの日本の教育は変わると、校庭から考えさせられました。
陸上競技、球技などの団体競技から遊びにシフトするのではないでしょうか。
集団行動より創造性が求められていると感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=o3k-Y4FYIz4&feature=my_liked_videos&list=LL7NuBzWEP_-BdPF8OGElwYA

日本の事例では、校庭の芝生化が、こういった変化の流れではないかと感じています。
写真は、四国中央市四国中央市の芝生事業を視察
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怪我が減ったり、運動能力が向上したり、子どもの発育に効果が見られるとのこと。地域の諸団体が連携して、維持管理にあたる。地域での交流が生まれ、市民との協働が始まっています。




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2012年05月21日

先生もワークシェアリング‐オランダ報告5

オランダの学校を、見学して、一番の驚きは、教員までワークシェアリングをしていることであった。担任の先生は、交代で出勤。教材会社から購入したカリキュラムを使って授業する。

日本では、担任する生徒については、その一生を面倒見るくらいの情熱を持って指導する。授業は、独自に研究した教材を使う。しっかりとした授業のために、今では、大学院で学ぶくらいでないと、高校ではつとまらない。教員の労働時間を減らしてもらったとしても、生徒との面談や教材研究にいそしむ人が多いのではないだろうか。
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教材のソフトを使って授業

オランダの教員は、日本の教員と比べ、頼りない。逆に、そこがポイントなのかもしれない。たとえば、複数の教員が担任するためには、情報共有が必要である。つまり、「先生の城(閉ざされた学級)」にはならない。教材会社のカリキュラムを、複数の教員で進めることで、進度が保たれ、当たり外れがない。システムが確立し、教員はプロ意識が徹底していると言える。

オランダは、日本の
3分の2の労働時間で、仕事効率が1.5倍である。日本の教員の素晴らしさを確認するとともに、労働環境を改善するためには、教員自身の意識改革が必要と気づかされた。




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2012年05月05日

通知表とポートフォリオと三者面談-オランダ報告4

オランダイエナプランの学校での「教育評価」について、報告いたします。

通知表は、数値で表されていません。
国語、理科、社会、音楽といった教科ごとではなく、主体性などの姿勢や聴く力やプレゼン力などスキルについて、5つくらいの項目について、教員がコメントを記し、評価されています。

児童生徒・教員・保護者の三者面談は、年に3回程度開かれます。
ここでは、この通知表をもとに話し合われます。
子ども自身の評価と合わせて、話し合われます。
保護者も同席していますが、児童生徒-教員が話し合い、保護者は傍聴しているイメージです。

それぞれの児童生徒は、学びのポートフォリオを作成しており、自分自身の評価に役立てています。
一番よくできた作品や印象深い取り組みをファイルに保存しています。
たとえば、1年生の時に、きれいにアルファベットが書けるようになった時の練習プリントが保存されており、発達の過程をたどりことができます。

写真は、そのポートフォリオを見せてもらっているところ。
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それぞれの児童生徒のポートフォリオが、教室の棚に保管されています。
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卒業生のポートフォリオも、PCスペースの棚に保管してありました。
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2012年05月02日

リヒテルズ直子さんとの出会い‐オランダ報告1

私は、土浦日大高校で教諭を勤めていた。

生徒中心の学級運営、部活動や学生寮での自立的な組織作り、協同的な学びのの授業など、充実した教育活動であった。

しかし、大きな壁にも直面していた。
学校外での生徒を取り巻く環境だ。
家庭や地域、社会が与える生徒への影響は大きい。
経済不況で親が失業している家庭、TX新線開通や郊外大型店の進出によるまちの衰退。
治安の悪化、若者をねらった犯罪、「勉強したって社会の役に立たない」と言う大人。

「何とかしなければ」
そんな気持ちで解決策を模索する中で出会ったのが、リヒテルズ直子さんが書かれた『オランダの教育』だった。
その本を読み、社会を変える教育・教育を支える社会という視点を得たのであった。

それから約5‐6年が経った。
学校を離れ、研究だけではなく、地域に入って声を拾い、教育について考えてきた。
今回、そのリヒテルズさんに対面し、語り合い、オランダの学校をご案内して頂いた。


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