教育委員会

2013年07月07日

草の根からの教育改革

塾教育研究会(JKK)発行 「響」15号に所収されたものを転載いたします。 

私は、現在、柏市市議会議員として、教育政策を中心に取り組んでいます。http://www.y-yamasita.com/
あわせて、一般社団法人教育共創研究所を立ち上げ、地方議会から全国の教育改革を加速させようと活動しています。http://www.k3japan.org/
私が、このような活動に至るまでの経緯と、これからの展望を述べさせて頂きます。


【教育学との出会い】 

 私は、早稲田大学教育学部に進学しました。教員志望というわけではありませんでしたが、教育学の授業を受け、「教育とは」、「理想の教育とは」、「理想の社会とは」という問いを考えるようになりました。

 授業を通して、自分自身が受けてきた教育を客観的にとらえるとともに、オルタナティブ教育とくくられた教育の可能性に興奮したのを覚えています。


【塾経営の経験】

 学生時代は、アパートの一室で開いた塾の経営に関わっていました。小さい塾なので、同じ教室に、同じ学年で、同じ教科の授業を行う事ができません。見よう見まねで、大学で学んだイエナプランやドルトンプラン、フレネ教育を実践していきました。家族的な雰囲気の中、「学びの共同体」が育っていくのを目の当たりにすることができました。


【高校教諭から市議会議員へ】

 大学院を卒業後、土浦日大高校に勤めました。毎日が格闘でした。クラス経営、授業、部活動経営、生徒(生活)指導、学生寮舎監、生徒会活動といった生徒との関わりの他にも、生徒募集や教務、庶務などの校務分掌、PTA活動、もろもろの事務、先輩方や保護者、地域の方々とのコミュニケーション。自分自身の行動や言動が適切であったか、学校とは何か、教育とは何か、考える毎日でした。

 問題クラスと見られたけれど、ノビノビと個性的だった学級。

 監督はサインを出さなかったけれど、県大会に優勝し、関東大会に出場した軟式野球部。

 ともにご飯を食べ、ともに掃除し、ともにお風呂に入り、ともに学び、ともに暮らしながら、荒れ果てていた状況から温かく落ち着いた学生寮。

 これらの教育実践を振り返ると、イエナプラン教育のエッセンスが活かされています。学級経営では、多様な生徒同士の学び合いが生まれました。学生寮での勉強会では、ドルトンプランやイエナプランを活用しました。

 充実した教員生活でしたが、次第に、学校での教育だけでは限界があると感じるようになりました。家庭や地域、社会経済の問題、教育格差の問題について考えているうちに、居ても立ってもおられず、2度目の卒業生を見送った後、教員を辞めました。

 大学院博士課程での教育学研究や、地域で生涯学習の活動(柏まちなかカレッジ http://www.kcollege.org/ )を経て、現在は、柏市議会議員として、学校と行政、地域社会が一体となって、教育に取り組んでいくために、議会から働きかけています。


【オランダ視察を契機に】

 2012年4月、念願のオランダの教育を視察する夢が叶い、ダイナミックな動きが始まります。リヒテルズ直子さんのご助言を得て、教育共創研究所を立ち上げることになったのです。

 「改革は、草の根から広がっていくほうが力強い」、「改革には、連帯が必要」、「デモクラシーを実現させたい」、そんな話で、リヒテルズさんと熱く語り合いました。語り合った教育への思いを実現するためにも、連帯していくための組織を作ってはどうかとのご助言を頂き、同行した長井悠さん(ハバタク株式会社取締役)とともに、教育共創研究所が始まりました。


【草の根からの教育改革】

 教育共創研究所は、文科省からのトップダウンの教育改革ではなく、地方議会からの草の根の教育改革を目指しています。地方議会から、地方自治体での素晴らしい教育実践を促進し、他の自治体に広めていきます。たとえば、100の自治体で、ある教育改革が同時多発的に進められれば、その動きに追随する自治体も現れるであろうし、文科省にも影響は与えられると考えています。

 草の根からの教育改革を実現するためには、地方議員同士の情報共有と連帯が必要です。教育共創研究所は、地方議員と情報を共有し、連帯していくためのプラットフォームを目指しています。


【地方議会と教育行政】

 教育というと、文部科学省がすべてを取り仕切っているイメージがあるかもしれません。しかし、教育行政は、地方自治体でも行われています。各自治体の教育委員会では、教職員や学校施設の管理、教室など子どもの学ぶ環境の整備、給食、通学路の安全確保など、小中学校の運営を行っています。いじめの問題でも、教育委員会が問題になりました。教育現場の課題は、地方自治体の教育委員会が関わっているものです。地方議員は、自治体の教育委員会についても、チェックしていかなければならないのです。

 コミュニティ・スクール、小中一貫校、教育施設設置・整備、学校選択制、少人数授業、民間人校長なども、地方自治体の教育委員会の取り組むことができるものです。こういった教育政策の提案や推進を、議会から行っていくのも、地方議員の役割です。


【地方議員に教育は変えられない?】

 多くの地方議員が、「教育を変える!」と意気込み、国政に進出していったものの、しがらみや組織の論理に負けていくのを見てきました。彼ら・彼女らのうち、初心を貫き、教育改革を行ったのは、どれくらい、いるでしょうか?

 多くの地方議員が、「教育を変える!」と意気込みながらも、情報量不足で当局の答弁に言いくるめられていたり、議員が現場の状況を把握せず、思い込みや市民受けの良いパフォーマンスで、マスコミと一緒になって、現場の教員の邪魔をしたりしたことを目にしてきました。

 議会で教育が話題になると、何のエビデンスもなく、思いこみだけで質問したりする議員が多いのです。いじめがあれば、その対策が思いこみや感情だけで議論されます。ちゃんと調べて、証拠をとって、そして質問する。そういうことができる議員が、増えていったらいいなと思っています。しっかりとした質問をする議員には、教育委員会も市長部局も一目置くだろうし、協力し合えるだろうと思います。議会質問の一種のオープンソース化です。これが、教育共創研究所の活動の柱です。

【議会質問勉強会の取り組み】

 教育共創研究所では、議会質問情報を共有し、知恵を出し合い共創し、一自治体の教育実践を、全国に波及させていくための議会質問勉強会を、定期的に(年に8回)開催しています。これは、地方議会から、日本の教育に働きかけていこうというアクションです。地方議員のネットワークを作り、教育分野の勉強の場を作り、知見をためていきます。
※議会質問勉強会について http://www.k3japan.org/blog/4267/
 

 地方議員は、市政にわたるあらゆる分野のことに取り組まねばならず、教育はその一部です。そして、教育に力を入れても、選挙に有利なんてことはありません。高齢者福祉に力を入れた方が、マーケティング的に有利だからです。だから、教育分野は、議員活動の中でもおろそかになってしまいがちです。しかし、心ある地方議員はたくさんいて、そういう議員たちのネットワークと勉強の場があれば、と考えて活動しています。

 議会を通して教育委員会に働きかけ、教育委員会を通して教育現場が改善されていく、という道筋を、しっかりつけたいと思っています。

 これまで、/育「弁当の日」、△い犬疚簑蝓QUテスト」を取り扱ってきました。4月と5月の勉強会では、9月の議会質問に向け、「シチズンシップ教育」について話し合い、議会質問作成に向けた具体的な意見交換を行っているところです。この動きを深め、広め、加速させ、地方議会から日本の教育を良くしていこうと考えています。
山下 洋輔



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2013年05月17日

苫野一徳氏と対談「×(かける)哲学プロジェクト」

『どのような教育が「よい」教育か』(講談社)の著者で、教育哲学の研究者であり、私と大学院の同期でもある苫野一徳氏の「×(かける)哲学プロジェクト」での対談内容をまとめて頂きました。
http://timesphilosophy.blogspot.jp/2013/05/blog-post.html#!/2013/05/blog-post.html

「地方・現場から教育を変えていく」活動について語りました。私のバックグラウンドをよく知るインタビュアーのお陰で、いい話を引き出してもらいました。「一揆」の話まで掲載してもらっています(^^)
学生の頃に、教育学から学んだ愛と情熱を思い出させてくれる対談でした。日々の疲れが吹き飛びました。


「地方から教育を変える!」
http://timesphilosophy.blogspot.jp/2013/05/blog-post.html#!/2013/05/blog-post.html


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2013年05月09日

自治体の教育委員会は、文科省の言いなり?

「自治体の教育委員会は、文科省の言いなり」だという意見を聴きますが、単純にそういうことでもありません。基礎自治体(市町村区)の教育委員会は、どのような権限があり、どのような仕事を行っているか整理しておきたいと思います。

 基礎自治体(市町村区)の教育委員会には、人事権がありません。教職員は、基本的に、都道府県の教育委員会の管轄です。採用や懲戒は、都道府県の教育委員会が行っています。

 
 基礎自治体の教育委員会は、施設に関すること、そこで働く教職員の服務監督を行っています。人事権はありませんが、異動を行うことはできます。

 
基礎自治体の教育委員会の中で、課題になってくる大きなテーマをいくつかあげてみます。

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⊂中学校の統廃合

6疑Πの年齢構成のアンバランス

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たとえば、柏市では、今から30−40年ほど前に、人口が急増し、同じ時期に校舎が建設されました。同じ時期に、校舎の老朽化が進み、立て替えや改修に多額の費用がかかります。

 

教職員の年齢構成のアンバランス

教職員の年齢構成は、50−60代と20代にピークがくる二こぶラクダの背中のようになっています。30代の教職員が、きわめて少なく、学校経営を担う人材が足りなくなると予測されます。団塊の世代の大量退職により、ベテラン教員の経験の継承も課題です。一方で、退職教員の再任用により、組織の若返りが図られないという課題もあります。

 

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今後、人口が減少すると予測され、税収も落ち込む中、どのように公共サービスを維持していくかが、行政の課題です。しかし、学校は、教育機会を保証する役割を担い、また、卒業生の心のふるさとでもあり、地域コミュニティの核となる、きわめて公共性の高いものです。学校の統廃合、あるいは、地域と共に学校運営を続けられるような体制作りが課題となっています。

 

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教育内容は、学習指導要領で定められています。しかし、何を教育目標に定め、どのような教育内容に重点を置いていくか、自治体の姿勢が表れます。「文科省の言いなり」という表現を耳にしますが、地域の特色ある教育を実践する枠組みは、用意されています。

ビジョンをもった予算の配分が期待されています。

※中核市、政令市の場合
都道府県の教育委員会から、人事や研修などの権限を委譲される自治体の教育委員会もあります。
たとえば、政令指定都市の千葉市では、人事権を委譲されました。この場合、教職員の人件費は、千葉市が支払うことになります。また、中核市である柏市は、研修事業を独自に行うことができるようになりました。



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2012年04月05日

柏市教育振興計画

柏市の教育振興計画が公表されました。

柏市教育振興計画は、地方自治体が取り組む、これからの教育が一通り網羅されています。
それだけでも、なかなか読み応えがあります。

さらに、柏の地域性や考えが書かれた部分を読み取っていくと、お子様が受けている教育の意味、さらには、私たちが働きかけていかなければならない部分が見えてきます。
立派な計画の作文に終わらせず、しっかりと計画通りの教育が実践されているか、チェックしていく必要もあります。
http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/280100/p011179.html

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