2009年02月19日
子育て講演会「東南アジアで垣間見た子育て事情」を聞いて

私・山下は司会をつとめました。
野口栄一郎氏を講師にお招きし、
「東南アジアで垣間見た子育て事情」についてお話してもらいました。
野口栄一郎先生は、小学校校長を定年退職した後、
オーストリアやミャンマーで日本語や日本文化を教えてこられました。
民話の研究をご専門とし、『関宿で昔話を考える』などを著されています。
訳書に『ヤンゴン河の虹 ミャンマー民話集』もあります。
また、岡村真理子氏らとともに、カンボジアに学校を贈る活動もされてきました。
このような野口先生のご経験を
興味深いミャンマーやカンボジアでの写真を交えながら、
現地の教育事情を語っていただきました。
たとえば、ミャンマーでの道路事情や宗教的背景を具体的に紹介され、
ミャンマーの国民性などへの認識を新たにする機会となりました。
親とともに登下校すること、学校の建造物が立派なことなど、
教育に力を入れていることも知ることができました。
なかでも、ミャンマー文字の学習教材は興味深いものでした。
初めて学ぶ子どもたちが勉強は楽しいものだ、
と感じさせる工夫がなされたカードを紹介していただきました。
日本のイロハカルタのようなもので、
「食事は家族一緒に」や「先生に迷惑をかけない」といった
教訓的な短文を通して文字を学習していきます。
文字を覚えるとともに、社会的なルールも自然と身につけられるようになっていました。
ミャンマー人は語学の吸収力が早いそうです。
その理由をミャンマーの方はこう答えたそうです。
「語学は遊びごとではなく、生活のかかったものなので、真剣なのは当然」、と。
ご専門でもある民話についても、お話いただきました。
日本、東南アジア、さらにはギリシアの民話の間でも
共通するものがあると指摘されました。
したがって、民話には普遍的なテーマが盛り込まれているので、
読み聞かせは子どもの教育に有意義であることを改めて教えていただきました。
野口先生のわかりやすい語り、子どもへの愛情あふれる内容、そしてやさしいお人柄
に会場全体がひきつけられた2時間でした。