2012年05月21日
イエナプランの授業風景‐オランダ報告3
リヒテルズ直子さんのご案内で、イエナプランの学校を中心に見学した。イエナプランの教育は、学年の違う子供たちを混合してクラスを編成し、学び合う共同体を作る。自分で学習計画を立て、各自で課題に取り組む。一方で、対話や観察を中心とした授業が展開されている。自立学習と協同学習を組み合わせたものである。
私が見学した20名のクラスでの学習風景を紹介する。3つの学年が1クラスに在籍。1学年6名が先生の周りに座り、算数の説明を受ける。1回の説明で理解した児童は、自席に戻り、課題を取り組み始める。もう一度、先生は、かみくだいた説明をする。児童が、分かるまで繰り返される。そして、次の学年が先生の周りに集まった。
説明を終えると、先生は教室を歩き、質問を受ける。みんなの前で質問するわけではないので、内気な児童でも大丈夫である。また、教室に備え付けられているPCの教材で調べている児童もいる。同じ班の先輩から教わる児童もいる。先輩も教えることで、理解が深まる。異学年混合クラス編成の利点だ。
日本の塾で行われている個別教育の良さと、教室という社会の中で学び合う良さの両方が生かされた教育であった。
これで、学習は身についているか?そんな心配は不要である。全国模試のようなテストを行っている。点数を競うのではなく、今後の学習や指導の指針となる。本来の意味でのテストだ。結果によっては、心理学など専門家によるサポートも受ける。自由な教育が認められる反面、教育監督局の指導を受けており、自由放任なわけではない。
※訪問校 ’t Kompas ヘト・コンパス小学校
Vlaardingen(フラールディンゲン)という都市にあるプロテスタント系の小学校。イエナプラン校ですが、ピースフルスクール・プログラムという、現在シチズンシップ教育のメソッドとして先端を切っているプログラムを採用している。
http://www.jenaplan-tkompas.nl/
※訪問校 ドクター・スハエプマン小学校
イエナプランの優良校の賞を取った学校。この学校は、4月13日に日本テレビで放映されるアナザースカイで、尾木直樹さんとともに訪れ紹介した学校です。
http://www.schaepmanschool.nl/
オランダは、移民も多く、多様な社会である。教育も、多様である。フレイネ、モンテッソーリ、シュタイナーなどの進歩的な学校やイスラム教の学校など、様々な教育が行われている。このイエナプランも、その中の一つに過ぎない。当然、オールドスクールと呼ばれ、教壇で先生が板書して、教科書を読む画一的な学校もあるということも触れておく。