2014年02月11日

村丸ごと生活博物館(水俣市)を視察

2013年1月、水俣市に「村丸ごと生活博物館推進事業」を視察。学びが社会をどのように変えていくのか、生涯学習によるまちづくりの可能性を確かめに行った。まち全体をカレッジと見立てる柏まちなかカレッジとも相通じるものを感じる。近年、まちライブラリーや島まるごと図書館なども注目を集めている。村丸ごと生活博物館は、興味深い実践である。

【説明頂いた内容】 

DSCN0367丸ごと活博物館」(元気村づくり条例に定められている)集落全体を生活の博物館と見立て、水俣市が指定する。そこにこの取り組みの背景には、水俣病がある。住む人々が元気になる、そして地域が元気になるための仕組みである。村丸ごと生活博物館では、そこに住んでいる人々が、地域外の人々を案内する。案内するのは普段の生活であるが、交流(案内)を重ねるごとに、そこに住む人々は自分の持つ力に気付いていく。 http://www.city.minamata.lg.jp/423.html


日本全国から、医学、環境、経済、歴史、社会学、心理学など多様な分野の学者が集まり、公害である水俣病に至る背景についての研究がなされてきた。
単に、チッソが悪いということでは済まされない地域の関係がある。
それらは、水俣学として確立されている。

※水俣学 http://www3.kumagaku.ac.jp/minamata/project/about_project

DSCN0371環境モデル都市水俣市の公用車は電気自動車
村丸ごと生活博物館は、地域の学びを大切にしてきた伝統の上にあると感じた。
これは地域住民が、地域に誇りと愛着を持つことにつながる。
今では、水俣市は環境モデル都市として打ち出している。

沿岸地域から離れた山間地域の課題もある。

山間部には、鉄道がと通っておらず、村落が衰退していた。
この取組によって、村落に観光客が訪れ、住民が地域の良さに気付くきっかけとなった。
住民自身で、地域を美しくみせようとする動きが生まれた。
実際に、現金収入も生まれ、山間地域の住民の満足度が高まっている。

【得られたこと】

これからの修学旅行は、海外を知ることを目的にするのではなく、ショートステイなどで地域の文化を体験し、つながりを作ることに移行していくだろうと実感した。テロなどのリスク、為替変動、原油価格に左右される海外でなくても、日本の山村漁村農村の生活体験の方が、かえって貴重な勉強になるとも考えられる。

電気を使わないで生きていく体験など、「生きる力」を育む上でも有効である。

都市と農村山村漁村、あるいは農村山村漁村間での交流など、普段からの地域間の連携は、大切だ。災害時にも、大きな意味を持つ。物資輸送など緊急支援は、行政や大企業などが担ても、精神的な支援や細やかな手伝いなど、継続的な支援では、複合的な地域間の連携が大切になってくるはずだ。

世間の関心が薄れてしまいそうな時こそ、日常の交流がモノを言ってくるのではないだろうか。

これからの修学旅行のキーワードは、体験と交流と考えられる。 

DSCN0366
水俣湾を埋め立てた「エコパーク水俣」



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