いじめ対策

2014年03月04日

スウェーデンの「いじめのない学校キャンペーン」動画

スウェーデンの「いじめのない学校キャンペーン(Friends)」の動画です。

赤毛の男の子がいじめられています。
それに対し、いじめ加害者‐被害者ではない第三者が赤く毛を染めて、自分はいじめを支持せず、被害者の味方であることを示し、いじめに働きかけています。

主人公の女の子が無視され、透明人間のように扱われています。
一人で食事をとっている透明人間扱いされている女の子。
彼女と一緒に食事をしようとする女の子が現れ、彼女は透明人間でなくなります。

これらの動画は、いじめを見て見ぬふりすることなく、スマートな方法で介入する積極的な第三者(Active Bystanders)の重要性を示しています。 
この動画のようにかっこいい形ではなくとも、無理なく、いじめに加担しないという意思表示を、周囲ができるようになれば状況は変わってきます。
残念ながら、いじめは起きてしまうもの。
でも、いじめが起きてしまった時に、一人でいる子に声かけして遊ぶ、けんかの仲裁をする、相談ポストの相談にのる、保健室に来た子をやさしく迎える、あいさつをするなど、何かしらの行動が取れる子どもを育てていくことが、いじめの対策なのです。


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2014年03月02日

フィンランドのいじめ対策プログラム KiVa program

以前にもご紹介しましたフィンランドのいじめ対策プログラムKiVaについて、あらためてまとめたいと思います。
KiVa 参考情報
読売新聞の記事 2011年11月23日

【フィンランドでKiVaが採用されるまで】
フィンランドでは、1990年代初めに、いじめに関する悲惨な事件や自殺などが相次ぎ、07年には銃乱射事件犯人の母親が幼少時代にいじめられいたなど、メディアが大きく取り上げたこともあって社会の注目を集めるようになった。
99年に学校の安全確保に関する法が制定され、03年の法改正で各学校にいじめ対策の行動計画策定が義務づけられた。だが、学校ごとにプログラムを作ると時間がかかり、効果があるかどうかもわからないので、06年に政府の依頼を受けて、いじめのメカニズムなどを研究してきたトゥルク大学のクリスティナ・サルミバリ(Christina Salmivali)教授らが中心となって「KiVa」の開発を始めた。09年から全国の小中学校で導入が始まり、現在、9割の学校で採用されている。

【いじめ対策プログラムKiVaの内容】
特徴は、いじめ加害者‐いじめ被害者という関係ではなく、学級の傍観者・何もしない児童・生徒に焦点を当てている点である。傍観者は、いじめに関係ないというのではない。学級内での人間関係など、いじめのメカニズムを明らかにする。
学級全体をチームととらえ、学級全員で良い学級を作っていこうという態度を育てる。
学校は民主主義の実践の場である。社会の不正に対し、「おかしいことは、おかしい」と言える市民になって欲しいというシチズンシップ教育が背景にあると感じた。

具体的には、いじめのメカニズムの知識を学び、いじめが学級全体の問題であるということをロールプレイングやイマジネーションゲームで疑似体験し、ディベートや対話、グループ活動を駆使して考えさせる。
年約20授業時間のプログラムである。
校長、保健委員やその他教員など3人以上からなるチームを作り、いじめが起きた学級の担任と協力して対応することになっている。

家庭向けのプログラムも用意してある。
KiVa いじめ対策プログラム保護者向けのガイド
問いかけ、いじめ被害者の家庭でのサポート、いじめに対し「やめて」と言いうための家庭での練習、周囲の仲間をいじめから被害者を救うための行動、ネットいじめ対策、親としての心得など、充実した内容である。
「もし、子どもがいじめに加わっていたら、何をすべきか?」など、具体的なものである。

【いじめ対策プログラムKiVaの効果】
「導入してから9か月後のいじめ被害の報告件数は、導入していない学校に比べて2割前後低かった。生徒の不安感、抑うつ傾向も低く、逆に学校への愛着や学業意欲は高かった。以前は『うちの学校にはいじめはない』と話す校長が多かったのが、『いじめはある。こういう対応をとっている』と報告するようになるなど、意識の改革もあった」とクリスティナ・サルミバリ教授は、読売新聞の記事で答えている。
教育新聞(2013年5月6日6面)では、「実施校では2年でいじめが4割減った」、「クラス内の問題解決に教員が自信を持てるようになり、生徒との間の信頼関係が強くなった」などの効果がみられるという。

【積極的な第三者を育てる】
このいじめ対策プログラムKiVaから、いじめ加害者・被害者ではない第三者への働きかけの研究が必要と感じた。
そういった視点で、マサチューセッツ工科大学の Active Bystanders が要チェックである。
ここでは、いじめを見て見ぬふりすることなく、スマートな方法で介入する積極的な第三者(Active Bystanders)となるための事例が紹介されている 
http://web.mit.edu/bystanders/index.html



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2013年06月25日

いじめ対策としての学校仲裁所制度

学校仲裁所制度についてご紹介します。これは、仲裁所を建設するというのではなく、児童・生徒の間で生じたもめごとや問題を、当事者である児童・生徒自身が話し合いで解決していくための仕組みです。
当事者同士が話合いによって、相互理解を深めていきます。

ノルウェーのオスロ市で実践され、いじめ対策としても有効であると評価されています。
仲裁委員は、児童生徒の中から選出され、研修を受け、活動を開始します。
学校仲裁所をサポートする教員は、他校の担当教員と情報共有し、話し合いを行っています。

オスロ市の小学校で仲裁委員になった子どもからは、次のような感想が出ています。
・自分より小さなこと遊んであげます。校庭でみんなと遊んでいるときに意見が合わなかったり、摩擦など観察します。深刻な紛争、ケンカがあれば、仲栽室へ連れて行きます。誰も一人ぼっちになってはいけないのです。
・いじめを止めて、学校を楽しくしたいと思いました。
・お父さん、お母さんからも「誇りに思う」と言われた。また、クラスメートからは「格好いい」と言われた。
・将来は、弁護士になりたい。お医者さんになりたい、など将来を語る。

この学校仲裁諸制度は、いじめ対策のみならず、これから生きていくうえで必要不可欠な対話力を育て、子どもの自治、子どもが主人公、子どもの権利をベースにした公民教育・シチズンシップ教育です。

こういった教育を受けた子どもが、大人になり、主体的に社会に参加していくことになると期待されます。
この学校仲裁所制度を日本の小学校において、生徒会活動や学級活動など、何らかの形で生かしていくことについて、柏市の市議会で提案いたしました。

「いじめ対策等としての学校仲裁所制度」について調べていたところ、ノルウェー;オスロ市「ディーセン小学校」の実践が、北海道議会の視察報告で紹介されていました。http://www.gikai.pref.hokkaido.lg.jp/_/jyohoukoukai/grp/2010-8-26houkokusyo.pdf


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