オランダ

2013年07月21日

フューチャーセンターと知的資産経営

食のフューチャーセンター柏で、「食を通して、つながりある地域社会」を目指した活動を、昨年の6月から続けています。写真は、今日(2013/7/21@NOB)のミーティング風景。

フューチャーセンターとは、環境問題や高齢化といった、大きく複雑な問題に対して、社会の叡智を集め、当事者を巻き込んで解決していく仕組みです。本会は、柏まちなかカレッジにより開催されてきたフューチャーセンターから発展し、広がってきたものです。
社会課題に対し、「食」をきっかけとして、立場を越えた多様な人たちが集まり、力を合わせて、地域・未来に働きかけていきます。
食のフューチャーセンター柏 http://food-fck.blogspot.jp/

2013年6月、食のフューチャーセンター柏を立ち上げ、半年くらいすると、身近な仲間内では心と心で通じ合って広まっていきました。しかし、言葉で論理立てて表現し、第三者に伝えていくことが、課題になっていました。
「つながり」や「感謝」など目には見えない価値を説明する言葉が不足していました。そんな時に出会ったのが、新メンバーの小峯さんと「知的資産経営」の考えでした。

「『知的資産』とは特許やブランド、 ノウハウなどの「知的財産」と同義ではなく、それらを一部に含み、さらに組織力、人材、技術、経営理念、顧客等とのネットワークなど、 財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称を指します。「知的資産」は企業の本当の価値・強みであり、企業競争力の源泉です。企業経営・活動は、知的資産の活用なしには成り立たないものなのです。」
※経済産業省近畿経済産業局より http://www.kansai.meti.go.jp/2giki/network/vbnet_ic.html
小峯さんは、知的資産を活用して中小企業の経営を支援するのがお仕事です。そこでのご経験を食のフューチャーセンターに活かして下さりました。
フューチャーセンターと知的資産経営は兄弟のようなものです。もともと、このフューチャーセンターという言葉は、知識経営(Knowledge Management)で有名なスウェーデンのレイフ・エドビンソン教授が使い始めました。小国の発展には、資本や資源ではなく、知識やアイデア、人材の質を評価しPRしていく必要があると考え、「知的資本の定量化」の測定方法を研究し、知的資本の測定・発信を行うようになったそうです。私は、梅棹忠夫さんの本を愛読していたこともあり、フューチャーセンターの考えに共鳴し、研究と実践に取り組み始めたのです。

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写真 オランダのフューチャーセンターLEF視察
最近、フューチャーセンターのワークショップ的な面が注目されていますが、未来の知的資産を生み出す仕組みでもあります。
私たち食のフューチャーセンター柏は、知的資産である人的資産や関係資産が、組織を越えて集まって構成され、構造資産を生み出しています。知的資産経営の視点から、この見えなかった知的資産を可視化することができます。


今日、小峯さんから知的資産経営について説明頂きました。人とのつながりや技能•経験など、数字には表現できない強みを評価するためのコミュニケーションツールである知的資産経営報告書を作り、私たちの活動を説明できるようになりたいと考えています。



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2013年05月24日

イエナプランの優良校Dr. Schaepmanschool 訪問

2013年2月、Dr.Schaepmanschool Rien van den Heuvel校長先生に再会することができました。
※2012年の訪問 http://goodman.livedoor.biz/archives/51981723.html
Rien van den Heuvel先生が教員になった動機や校長になった経緯も聞かせて頂きました。Dr.Schaepmanschool は、イエナプラン教育を実践している、素晴らしい学校でした。

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Dr. Schaepmanschool (ドクター・スハエプマン小学校)
http://www.schaepmanschool.nl/
イエナプランの優良校の賞を取った学校です。
この学校は、4月13日に日本テレビで放映されるアナザースカイで、尾木直樹さんとともに訪れ紹介されました。

I could meet Rien van den Heuvel (Principal of Dr.Schaepmanschool) again. I

questioned why he became a teacher, and how he became Principal and started Jena-Plan education. Dr.Schaepmanschool is wonderful.




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2012年05月21日

イエナプランとは‐オランダ報告2

イエナプランとは、異年齢・異学年で学級を編成。上級生に教わり、下級生に教える。
車座で対話を通して、協働して学ぶ。同時に、静かに学ぶ時間、自立学習を重視する。
知識面では、学年ごとの小集団に、先生が説明。理解した児童・生徒から、自立学習に移る。友達に教わったり、PCや図書で調べたり、先生に質問して、身につけていく。

ドイツのピーター・ペーターゼンによって、1923年ころから研究と教育実践が始まった。
第二次大戦やペーターゼンの死によって、ドイツでは停滞。1950年代にオランダに入り、発展を遂げる。
70年代のオランダの学校教育改革、特に画一教育から個別教育への変換に、甚大な影響をもたらした。

Dr. Schaepmanschool (ドクター・スハエプマン小学校)
http://www.schaepmanschool.nl/
イエナプランの優良校の賞を取った学校です。
この学校は、4月13日に日本テレビで放映されるアナザースカイで、尾木直樹さんとともに訪れ紹介されました。
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中央 Dr. Schaepmanschool (ドクター・スハエプマン小学校)の校長先生
左 長井悠ハバタク株式会社取締役
右 山下洋輔

イエナプラン教育の20の原則
http://study.japanjenaplan.org/?cid=2 より引用

1.
どんな人も、世界にたった一人しかいない人です。つまり、どの子どももどの大人も一人一人がほかの人や物によっては取り換えることのできない、かけがいのない価値を持っています。

2.
どの人も自分らしく成長していく権利を持っています。自分らしく成長する、というのは、次のようなことを前提にしています。つまり、誰からも影響を受けずに独立していること、自分自身で自分の頭を使ってものごとについて判断する気持ちを持てること、創造的な態度、人と人との関係について正しいものを求めようとする姿勢です。自分らしく成長して行く権利は、人種や国籍、性別、(同性愛であるとか異性愛であるなどの)その人が持っている性的な傾向、生れついた社会的な背景、宗教や信条、または、何らかの障害を持っているかどうかなどによって絶対に左右されるものであってはなりません。

3.
どの人も自分らしく成長するためには、次のようなものと、その人だけにしかない特別の関係を持っています。つまり、ほかの人々との関係、自然や文化について実際に感じたり触れたりすることのできるものとの関係、また、感じたり触れたりすることはできないけれども現実であると認めるものとの関係です。

4.
どの人も、いつも、その人だけに独特のひとまとまりの人格を持った人間として受け入れられ、できる限りそれに応じて待遇され、話しかけられなければなりません。

5.
どの人も文化の担い手として、また、文化の改革者として受け入れられ、できる限りそれに応じて待遇され、話しかけられなければなりません。

6.
わたしたちはみな、それぞれの人がもっている、かけがえのない価値を尊重しあう社会を作っていかなくてはなりません。

7.
わたしたちはみな、それぞれの人の固有の性質(アイデンティティ)を伸ばすための場や、そのための刺激が与えられるような社会をつくっていかなくてはなりません。

8.
わたしたちはみな、公正と平和と建設性を高めるという立場から、人と人との間の違いやそれぞれの人が成長したり変化していくことを、受け入れる社会をつくっていかなくてはなりません。

9.
わたしたちはみな、地球と世界とを大事にし、また、注意深く守っていく社会を作っていかなくてはなりません。

10.
わたしたちはみな、自然の恵みや文化の恵みとを、未来に生きる人たちのために、責任を持って使うような社会を作っていかなくてはなりません。

11.
学びの場(学校)とは、そこにかかわっている人たちすべてにとって、独立した、しかも共同して作る組織です。学びの場(学校)は、社会からの影響も受けますが、それと同時に、社会に対しても影響を与えるものです。

12.
学びの場(学校)で働く大人たちは、1から10までの原則を子どもたちの学びの出発点として仕事をします。

13.学びの場〈学校)で教えられる教育の内容は、子どもたちが実際に生きている暮らしの世界と、(知識や感情を通じて得られる)経験の世界とから、そしてまた、<人々>と<社会>の発展にとって大切な手段であると考えられる、私たちの社会が持っている大切な文化の恵みの中から引き出されます。

14.学びの場(学校)では、教育活動は、教育学的によく考えられた道具を用いて、教育学的によく考えられた環境を用意したうえで行います。

15.学びの場(学校)では、教育活動は、会話・遊び・仕事(学習)・催しという4つの基本的な活動が、交互にリズミカルにあらわれるという形で行います。

16.学びの場(学校)では、子どもたちがお互いに学びあったり助け合ったりすることができるように、年齢や発達の程度の違いのある子どもたちを慎重に検討して組み合わせたグループを作ります。

17.学びの場(学校)では、子どもが一人でやれる遊びや学習と、グループリーダー(担任教員)が指示したり指導したりする学習とがお互いに補いあうように交互に行われます。グループリーダー(担任教員)が指示したり指導したりする学習は、特に、レベルの向上を目的としています。一人でやる学習でも、グループリーダー(担任教員)から指示や指導を受けて行う学習でも、何よりも、子ども自身の学びへの意欲が重要な役割を果たします。

18.学びの場(学校)では、学習の基本である、経験すること、発見すること、探究することなどとともに、ワールドオリエンテーションという活動が中心的な位置を占めます。

19.学びの場(学校)では、子どもの行動や成績について評価をする時には、できるだけ、それぞれの子どもの成長の過程がどうであるかという観点から、また、それぞれの子ども自身と話し合いをするという形で行われます。

20.学びの場(学校)では、何かを変えたりよりよいものにしたりする、というのは、常日頃からいつでも続けて行わなければならないことです。そのためには、実際にやってみるということと、それについてよく考えてみることとを、いつも交互に繰り返すという態度を持っていなくてはなりません。

(リヒテルズ直子訳)




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イエナプランの授業風景‐オランダ報告3

リヒテルズ直子さんのご案内で、イエナプランの学校を中心に見学した。イエナプランの教育は、学年の違う子供たちを混合してクラスを編成し、学び合う共同体を作る。自分で学習計画を立て、各自で課題に取り組む。一方で、対話や観察を中心とした授業が展開されている。自立学習と協同学習を組み合わせたものである。


 私が見学した
20名のクラスでの学習風景を紹介する。3つの学年が1クラスに在籍。1学年6名が先生の周りに座り、算数の説明を受ける。1回の説明で理解した児童は、自席に戻り、課題を取り組み始める。もう一度、先生は、かみくだいた説明をする。児童が、分かるまで繰り返される。そして、次の学年が先生の周りに集まった。

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 説明を終えると、先生は教室を歩き、質問を受ける。みんなの前で質問するわけではないので、内気な児童でも大丈夫である。また、教室に備え付けられているPCの教材で調べている児童もいる。同じ班の先輩から教わる児童もいる。先輩も教えることで、理解が深まる。異学年混合クラス編成の利点だ。

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日本の塾で行われている個別教育の良さと、教室という社会の中で学び合う良さの両方が生かされた教育であった。

これで、学習は身についているか?そんな心配は不要である。全国模試のようなテストを行っている。点数を競うのではなく、今後の学習や指導の指針となる。本来の意味でのテストだ。結果によっては、心理学など専門家によるサポートも受ける。自由な教育が認められる反面、教育監督局の指導を受けており、自由放任なわけではない。

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※訪問校 ’t Kompas ヘト・コンパス小学校
Vlaardingen(フラールディンゲン)という都市にあるプロテスタント系の小学校。イエナプラン校ですが、ピースフルスクール・プログラムという、現在シチズンシップ教育のメソッドとして先端を切っているプログラムを採用している。
http://www.jenaplan-tkompas.nl/

※訪問校 ドクター・スハエプマン小学校
イエナプランの優良校の賞を取った学校。この学校は、4月13日に日本テレビで放映されるアナザースカイで、尾木直樹さんとともに訪れ紹介した学校です。

http://www.schaepmanschool.nl/


オランダは、移民も多く、多様な社会である。教育も、多様である。フレイネ、モンテッソーリ、シュタイナーなどの進歩的な学校やイスラム教の学校など、様々な教育が行われている。このイエナプランも、その中の一つに過ぎない。当然、オールドスクールと呼ばれ、教壇で先生が板書して、教科書を読む画一的な学校もあるということも触れておく。

 




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