特別支援教育
2010年06月12日
インクルーシブ教育の成果を取り入れた社会人の学習支援
企業研修や勉強会企画など、社会人の学習を支援する仕事もしています。
そのなかで、資格講習の企画や授業も行っています。
すでに合格に必要な専門的な知識を持っている方がいる一方で、
受講される方には、高校卒業して以来〜十年と
机に座って学習したことがない(しかも学生時も学習していない)、
そんな方も見えられます。
年齢差、職業の違いだけでなく、大きな学力差がある中での講義。
時間、空間、教員数の制限があるので、同じ教室です。
「全員合格」を達成するためには、私は勉強が苦手な方にわかる講義をします。
レベルを下げるわけではありません。
わかりやすい言葉を用い、シンプルに本質を伝えるよう心がけます。
つまり、苦手な方にわかる講義は、できる方の役にも立つという考えです。
この考えの基本は、インクルーシブ(inclusive)教育に由来します。
インクルーシブ教育とは、あらゆる人のための教育です。
年齢、性別、能力、人種だけではなく、異なる文化背景、言語体系、経済格差もあるけれど、おちこぼれを出さない教育です。
同じ学校や学級に通い、必要に応じた教育支援を受けられます。
すべての人と言っても、とりわけ、障害を持つ方など、もっとも傷つきやすく、もっとも必要としている人びとが、ちゃんと教育が受けられるような環境を整える必要があるのです。
以前、大学院のゼミ仲間の特別支援教育の実践報告を紹介しました。
http://goodman.livedoor.biz/archives/51338478.html
特別支援教育というけれども、
「生徒一人ひとりが特別なんだ」
という言葉に目を開かされたのを思い出します。
※1994年にサラマンカ宣言(「特別なニーズ教育における原則、政策、実践に関するサラマンカ声明ならびに行動要綱」)にて、個人主義を尊重し、学習を支援し、個別のニーズに対応する施設に向けた活動の必要性の認識を表明されています。
2008年12月03日
特別支援教育に関する実践報告を聞いて
大学院のゼミで、特別支援教育に関する実践報告の発表を聞きました。
ADHDの疑いのある生徒A君についての事例報告でした。
ADHDの特徴、特別支援にあたっての教師の役割、保護者・専門家・学年団の連携など、報告者の事例をもとに確認することが出来ました。
その中で、特に参考になったのは、授業についての報告でした。
どうしたら、A君を伸ばすことが出来るかを模索した報告者は、A君がのびのびできるクラスが、どの生徒ものびのび出来るクラスであると考えるようになりました。
そこで、A君の特徴を生かした授業(英語科)を展開するようになりました。たとえば、席を移動してインタビューをするゲームや英語のリズムやセンテンスを身につけるチャンツを歌うなどを試みました。
その結果、A君だけでなく、クラス全体の活発さと積極性が増し、良い雰囲気で授業が行えるようになったそうです。
たしかに、高学年への応用の困難や考える力を養う授業への限界などもあります。しかし、Aくんを伸ばすことがクラス全員の成長にもつながるという考え方も大切だと、あらためて学びました。
特別支援教育というけれども、
「生徒一人ひとりが特別なんだ」
という報告者の言葉が印象的でした。